協会だより第4号【テキスト版】

協会だより第4号(平成28年7月発行)

このテキストは、一般財団法人全国盲導犬協会が平成28年7月に発行した「協会だより」の第4号です。サブタイトルは「クーピー、マーリー、それぞれの道」となっています。
全部で9項目から成り立っています。1番目は代表理事の斉藤による文章、2番めは歩行指導員の中野による文章、3番めは盲導犬「クーピー」の使用者の加藤氏による文章、4番目はキャリアチェンジ犬「マーリー」のオーナーの後藤氏へのインタビューです。5番目から9番目までは、イベントのご案内や発行者の情報など細々とした内容が掲載されています。

項目1:代表理事の斉藤つぎによる「ご挨拶とご報告」
 毎年4月に「かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソン大会」が茨城県の土浦市で開催されています。今年は当協会が盲導犬に関するブースの当番をさせていただきました。風雨の強い日でしたが、たくさんの方々がブースを訪れ、盲導犬育成事業に関心を寄せてくださいました。とても嬉しく思うと同時に、啓発活動の大切さを再認識する機会となりました。
 当協会の業務も3年目に入り、5月には2頭目の盲導犬を社会に送り出すことができました。これも皆々様のご支援・ご協力があってこそと、感謝の気持ちでいっぱいでございます。厚く御礼申し上げます。

項目2:施設長兼歩行指導員の中野薫による「2組目の卒業に寄せて」
 松井進さん・ジョバンニのペアに続き、当協会2番目のペアが歩行指導を終え、卒業していきました。昨年に引き続き、今年も卒業させられた事を大変嬉しく思います。
 今回卒業された方は、長野市在住の加藤久美さんです。この方は、協会設立時から盲導犬の申込みをされていて、長い間待っていて下さった方です。犬との関係作りが非常に上手な方でしたので、指導をするに当たっても、私自身良い経験をする事ができました。
 一緒に卒業した盲導犬は、雌のイエローでクーピーといいます。クーピーは、順応性と判断力に優れた犬で、初めて経験することもなんなくこなしていく様子には、何度も驚かされました。
 クーピーを育てて頂いた飼育奉仕者のご家庭では、卒業記念に協会からお送りしたクーピーの写真を、お家に飾って下さっているとのことです。お子さん達は、毎朝学校へ出かける前に、その写真に向かって「いってきます!」と声を掛けているそうです。クーピーを愛情深く、大切に育てて頂いた飼育奉仕者の方にも心から感謝しています。
 盲導犬に向く犬を各地から探している最中、第2号のペアを卒業させられたのは、当協会を応援してくださる大勢の方々のおかげです。全国で11番目の小さな協会ですが、早く安定して質の良い盲導犬を作出するために、一歩一歩、前に進んでいきたいと考えています。これからも皆様の温かいご協力をよろしくお願い致します。

項目3:盲導犬使用者加藤久美氏による「クーピーと新たなスタート!」
 2016年5月9日、待ちに待った歩行指導が始まりました。パートナーはクーピー。天真爛漫な女の子です。
 「クーピー、これからよろしくね。」
 頭をすり寄せて甘えてくるクーピーを撫でながら、私は声をかけました。
 クーピーは、私にとって4頭目の盲導犬です。1頭目から3頭目までは、他協会で歩行指導をうけました。3頭目のパートナーが9歳を迎えようとする頃から、私は代替えを考えていました。慢性疾患のあったパートナーを、少し早めに、元気なうちに引退させてあげたかったからです。そして、次のパートナーは、今までとは違う協会でと考えました。そんなとき、この全国盲導犬協会が設立されたことを知り、ここに決めた!!と思いました。それが3年前の3月のことです。その頃には、まだ協会の建物も建っておらず、もちろん犬もいませんでしたが、私に適したパートナーの訓練ができるまで、首を長くして待つことにしました。
 その間、昨年3月には3頭目のパートナーを引退させる決心をしました。その後の1年2ヶ月は、白杖で歩行することになりました。私は、それまで26年間盲導犬と歩いてきましたから、白杖での歩行はとても苦手でした。とはいっても家から出ないわけにもいかず、買い物や習い事など最低限のところには自力で出かけ、それ以外は夫や娘と出かけるようにしました。いつも歩いていた道なのに、白杖で歩くと障害物がいっぱいです。盲導犬と歩いていたときには気づきもしなかったものにつまずいたり、白杖を引っ掛けてしまったり……。本当に情けなくなってしまいました。そして、盲導犬ってすごい仕事をしてくれるんだなあ、とあらためて感じました。また、家族と出かければ安心して歩けますが、いちいち相手の都合に合わせなくてはいけないので、自分の好きなときに、思い立ったらふらっと、などという外出ができなくなり、とても不自由を感じました。
 そんなわけで、クーピーとの歩行指導が決まったときには、自由を取り戻せるような気がして、本当にうれしかったです。
 歩行指導はもう4回目ですから、特に戸惑うようなことはありませんでした。小さな協会ですが、それだけにアットホームな雰囲気で、とても楽しく3週間を過ごすことができました。普段は家で家族の食事の支度をしたり、毎朝娘のお弁当を作ったりしなければなりませんが、毎日3食上げ膳据え膳。主婦にとっては天国でした。
 歩行指導では、新しいパートナーということで、初心に戻って中野さんの指導を受けました。それ以外の時間には、クーピーが自分で体重計に乗ってくれるように練習したり、爪の手入れの練習をしたり、これまで苦手でなかなか上手くできなかった肛門腺絞りを犬舎の犬達で練習させてもらったり、4頭目にして初めていろいろな技を習得できました。協会横の池に住んでいるウシガエルの声を聴きながらのんびりとワンツーしたり、クーピーのブラッシングをしたりしたことも、良い思い出になりました。
 3週間の歩行指導を終えて長野に戻ってきた私とクーピー、さっそく日常が戻ってきました。クーピーは新しい環境にもすぐに慣れた様子です。体調も良く、家ではとてもリラックス。ときにははしゃいでクーピーらしいところを見せてくれます。でも、ハーネスを着けて仕事となると、とても真面目で、良い仕事をしてくれています。クーピーとの生活はまだスタートを切ったばかりです。これから時間をかけて、信頼関係を深めていきたいと思っています。我が家の三女クーピー、私に自由を取り戻してくれたクーピー、大切にしていきます。
 最後になりましたが、クーピーを育ててくださった飼育ボランティアのご家族の皆様、本当にありがとうございました。そして、協会関係者の皆様、ボランティアの皆様、私とクーピーというペアが誕生するまでに関わってくださった全ての皆様に感謝申し上げます。

項目4:後藤孝氏へのインタビュー「キャリアチェンジ犬も活躍中!」
 理由は様々ですが、盲導犬には適さないと判断された訓練犬は「進路変更犬」として一般のご家庭に引き取られます。そのうちの1頭で、現在は競技犬として活躍している「マーリー」のオーナー、後藤孝さんにお話を伺いました。
協会:マーリーを引き取った経緯をお聞かせください。
後藤:もともと先住犬のメイ(ウェスティ)と様々なドッグスポーツを楽しんでいたのですが、ディスクドッグ競技を本格的に始めたいと思い、適した犬を探していました。所属している「水戸フライングドッグクラブ」の代表で協会の理事も務める柏正雄氏の紹介でマーリーと出会いました。
協会:引き取ってみていかがでした?
後藤:マーリーの性格はディスクドッグ競技にとても向いているようで、教えれば教えるだけどんどん上手になっていきます。しかし、競技はペアでおこなうものですので、私の方もマーリーの上達についていけるよう真剣に練習しないといけません。毎日の練習がとても楽しく充実しています。
協会:マーリーを迎えてから1年半が過ぎましたが、後藤さんの生活に変化はありましたか?
後藤:ディスクドッグ競技の大会に出るため、マーリーを連れて日本各地に遠征するようになりました。現地では沢山の同好の士と新たな出会いがあり、交流が広がりました。こんな変化をとても嬉しく思っています。
協会:ありがとうございました。後藤さんとマーリーは全国から選抜された優秀なプレイヤーが集まる競技会「K9 DISK DOG JAPAN Grand Prix Final 2016」に出場なさいました。おめでとうございます。ますますのご活躍をお祈りしています。

項目5:催し物のご案内
 協会とローリー基金(協会支援ボランティアグループ)は定期的に学習会と募金活動をおこなっています。
学習会は、毎月第4土曜日の午後2時から1時間ほど、協会訓練施設では学習会を開いています。アットホームな雰囲気の中で、視覚障害者と盲導犬について学んでいただけます。ご質問にもひとつひとつ丁寧にお答えいたします。参加をご希望の方は紙面下の連絡先(訓練施設)まで事前のご予約をお願いします。
募金活動は、毎月第2土曜日午後2時より、ローリー基金では水戸京成百貨店正面玄関と4階駐車場連絡通路にて街頭募金活動をおこなっています。この募金活動は犬達とのふれあいタイムとも、また盲導犬使用者との交流を深めていただく絶好の機会ともなっています。是非、お出かけください。ただし、2月と8月はお休みです。
その他、年に1回を目安に盲導犬写真パネル展、チャリティーコンサート、チャリティードッグフェスタを開催しています。これらの詳細は、協会のホームページのお知らせ欄、または別途チラシ等にてご案内いたします。

項目6:犬に関するボランティア募集中
 協会では子犬、繁殖犬、進路変更犬の飼育ボランティアを募集しています。詳細はボランティア募集チラシまたは協会ホームページをご覧ください。

項目7:ご支援くださる皆様へ
 盲導犬育成事業を運営する財源は9割が個人、グループ、企業の皆様からの寄付金や協賛金で賄われており、私どもの協会も例外ではありません。盲導犬育成事業の主旨にご理解とご賛同を頂いた上で、ひとりでも多くの方のお力添えを賜ることができますよう、お願い申し上げます。

項目8:発行者の情報は以下のとおり:
発行者名称:国家公安委員会指定/一般財団法人全国盲導犬協会
英語名称:The Countrywide Guide Dog Operations (CGDO)
事務局所在地:茨城県ひたちなか市東石川3444番地の7
郵便番号:312-0052
電話番号:029-275-3122
公式ホームページ:http://cgdo.or.jp/ 
ホームページでは平成27年度の事業報告と収支決算をはじめ、各種資料を閲覧することが出来ます。

項目9:ゆうちょ口座情報は以下のとおり:
記号番号:00100-7-695089
加入者名:一般財団法人全国盲導犬協会
お振り込みにはゆうちょ銀行や郵便局に備え付けの「払込取扱票」をご利用ください。

協会だより第4号ここで終わり。